冒頭に「やったるで」と笑ってしまうほどに直截的な一文から始まる大阪写真集。かに道楽の看板や横山ノックのどアップを手始めに、日雇い労働者、パチンコ、質屋、在日、大阪の様々なるつぼ的側面を切り取りまくり、最後に遠景に霞む通天閣タワー…そして「私の写真でさようなら」と吹き出しのついた川村茂和自身のセルフ写真で終わる。川村茂和についての情報は良く分からないのだが森山大道の「記録」に関わった形跡。巻末には森山大道による寄稿テキスト。洗練されたニヒリスティックな文章の中に暖かい餞別の言葉を綴っている。
ソフトカバー。状態良好。
川村茂和, 1978
初版 | 26x18cm | 167pp. | b&w