市井の人々の何気ないストリートスナップだが、写真家の後藤田三朗(ごとうだ・みつお 1953-?)は、目に留めたひとりの人間に必ず焦点を当て(決して複数ではない)、フレームを正確にカットインしている。また、後藤田三朗は耳が不自由だという。それがタイトルの「無音」の所以なのだが、そうした人たちの持つ、並外れた集中力の高さがそうした部分に現れているような気がする。よく見ると写真は黒フチを残してプリントされており、つまり全てノー・トリミングということ。桑原甲子雄、石井幸之助、上野千鶴子、西井一夫、松本徳彦らによる寄稿テキスト。ソフトカバー。帯欠。表紙やや汚れ。それ以外は良好。
青弓社, 1983
初版 | 25x25cm | 写真図版112点 | モノクロ