泊昭雄(1955-)が、Seven Seas誌での3年間の連載に、一部撮りおろしを追加して刊行した写真集。カラーでいて、モノクロのような、完全にアンダーな色調、そしてソフトフォーカスとまではいかないまでも、やんわりとフォーカスの合った眼に優しい写真。ペーパーにマットなヴァンヌーボを用いた全体のミニマム感がたまらない。アートディレクションは副田高行。ハードカバー。状態良好。
もの達が群青色の染まり、
ゆっくりと行方をくらましていく。
そこに「誰彼」の時がある。
そして、陽が昇るかまだかの時。
音があるはずなのに、それも墨色の時。
目の前の「もの達」が時間が経つにつれ、
うっすらと湿度と温度を浴び
私の前に形として、そして姿として
色づき、現れてくる。
墨色から群青色に染まる時。
そう、「彼誰」と書いてカワタレ。
私はこの時が好きです。
泊昭雄(本書より)
WALL, 2002
初版1刷 | 34x25cm | color