戦後、福生の米軍兵住居が払い下げとなり、やがてそれが「外人ハウス」となり、自由な雰囲気を求める若者たちがこぞって移住してきた70年代。当時ミュージシャン仲間と共に自らも「ハウス族」であった坂野正人が、隣人たちを撮影した戦後風俗の一面史。既にブームが廃れつつあった時期の撮影とはいえ、村上龍の衝撃的デビュー作「限りなく透明に近いブルー」の舞台として描かれた場所の空気感がそれとなく伝わってくる。あとがきでは、重森弘淹が戦後日本史に絡めたコンテキスト付けをおこなっている。中平卓馬「来たるべき言葉のために」も手がけている木村恒久による装幀デザイン。ソフトカバー。帯付き。帯のエッジ付近に少々切れ目。小口付近若干の黄シミ。綴じ良好。
写真通信社, 1980
30x30cm | 写真図版数38点 | モノクロ