アルジェリアにルーツを持つフランス人写真家Lise Sarfatiの鮮烈なデビュー作となった写真集で、Sarfatiがソ連崩壊直後の1990年代のロシアに10年余り滞在した期間に撮影したもの。前半は共産主義体制崩壊による混乱で廃墟と化したロシア郊外の街や、寂れたシベリアの地方都市の建物を撮した写真で構成。アウシュヴィッツの強制収容所を想起させる不気味な廃墟は、不謹慎ではあるが美しくさえある。そして後半は、グラーグ(矯正労働施設)や精神病院における少年少女たちをシアトリカルでフィクションのようにも見えるやり方で描写。フォトジャーナリズムの表現方法が広がりつつあることを実感させられる。ラテン語のタイトルは英語に直すと”It is over”といったような意味。Lise Sarfatiは2001年からマグナムに所属。
2007年刊行のソフトカバー版リプリント。表紙カバーややヨレ。
Phaidon, 2007
再版 | 英語 | 30x20cm | 46plates | color