ただの風邪と診断を受けた生後2ヶ月半の娘、藍(らん)だが、その後容態が悪化。実は医師の誤診と貧弱な緊急医療体制によるもので実は化膿性髄膜炎だった。藍は幸い命をとりとめたがその後も入退院を繰り返し、わずか2歳半で急性肺炎を患い亡くなる。第二第三の藍を作ってはならないとの思いから、そして藍から課された”宿題”だとして太田順一はこの写真集を作り上げている。
太田順一は1950年生まれ奈良出身。早稲田大学政経学部中退。大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校大阪)卒。写真集として他に、大阪生野区猪飼野に住む在日の女性を取材した「女たちの猪飼野」(晶文社)、大阪の工業地帯に咲く花を撮り、日本写真協会賞第一回作家賞を受賞した「化外の花」(ブレーンセンター)など。展覧会「父の日記」では第34回伊奈信男賞。2019年には大阪にまつわる長年の撮影作品に対し写真の町東川賞の飛弾野数右衛門賞を受賞している。
ハードカバー。版元愛読者カード/広告小冊子付き。小口天に埃シミ。表紙カバーのエッジに微小なヨレ。
長征社, 1988
21x22cm | 写真図版25点 | 61pp. | モノクロ