東北は羽後町田代の寒村に、暗黒舞踏の創始者、土方巽を伴い撮影した、細江英公の代表作「鎌鼬」の復刻新版。1969年現代思潮社から限定1000部で刊行されたオリジナル「鎌鼬」の構成に、未発表作を8点を追加した内容となる。2005年に同じく青幻舎からでた完全復刻版に次ぐ普及版の体裁なのだが、1969年版のオリジナル「鎌鼬」デザインを担当した田中一光に装丁を再依頼したものの、その仕事の途上で田中一光が帰らぬ人となり、異なるデザイナーに変更となった経緯がある。よって内部はオリジナルデザインを踏襲した格好だが、表紙は全く新規のデザイン。日米同時刊行。アメリカからはAperture社より。ハードカバー。状態良好。美本。
瀧口修造「鎌鼬、真空の巣へ」
ドナルド・キーン「細江英公の写真」
高橋睦郎「鎌鼬讃」
細江英公「後書」
鎌鼬(かまいたち)とは一名鎌風(かまかぜ)とも言い、冬期寒冷地域におこる天気現象の一つである。何らかの理由で空気中に真空に近い箇所が生じ、たまたま人体が触れると体内圧とのバランスから皮膚が裂け出血することがある。目に見えない妖魔のしわざだと考えられたのが、異様な命名の由来らしい。(本書高橋睦郎のテキストより引用)
青幻舎, 2009
普及版初版 | 33x25cm | モノクロ