Channeled Drawing 小松浩子
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Channeled Drawing 小松浩子

Channeled Drawing | Hiroko Komatsu

小松浩子が2022年初頭、IG Photo Galleryにおける個展で発表した作品群を限定300部で制作した1冊。
各所で起こった殺人事件現場に赴き、その場の地面をトレーシングペーパーに擦り取り写したフロッタージュ作品(*1)と、それを更に印画紙に転写させたカメラレス/フォトグラム作品からなる2重の痕跡イメージで構成。作品下に付された数列は事件現場の座標軸を、短いテキストは”Stabbing/Three victims”(刺殺/3名死亡)といった具合に殺人の概要を至極簡潔に示す。
“芸術とは見えないものを見えるようにする”とはパウル・クレーの言葉だが、小松が本書ステートメントで記す、死ぬ前の動物が最後に目にした物を現像することに実験成功したという19世紀ドイツ生理学者のオカルトとからめ、彼女の細く器用な指先が優しく撫でた地面のざらつきから、亡者が最後に網膜に焼き付けた殺人者の顔が怪しく輪郭を成してくるよう。
所収された梅津元(埼玉県立近代美術館元学芸員)による超絶技巧曲のような論考は数度読み返す必要があるだろう。
2023年度第33回写真の会賞受賞。
中綴じ。新刊。
小松浩子による直筆サイン入り。

(*1) フロッタージュ(frottage)は、 シュルレアリスムで用いられる技法の1つ。フランス語の 「frotter(こする)」に由来する。木(の板)、石、硬貨など、表面がでこぼこした物の上に紙を置き、例えば、鉛筆でこすると、その表面のでこぼこが模様となって、紙に写し取られる。このような技法およびこれにより制作された作品をフロッタージュと呼ぶ。フロッタージュの作品は、デカルコマニーの作品と同様に、制作者のコントロールが部分的には効かず、また、見る者により、何に見えるかが、異なるという可能性がある。(Wikipediaより)

Man Cave, 2022

限定300部 | 日本/英語 | 21x15cm | 32plates | b&w

¥ 3,960 (税込)


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