河はすべて知っている-荒川 宛超凡
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河はすべて知っている-荒川 宛超凡

Yes, The River Knows - Arakawa River | Wan Chaofan

水はあらゆる生命の源である。
また、都市が成り立ち、発展するためには、いつの時代も、水害を防いだり、水路を整備したりする治水は重要な課題だったと考える。河川は人類文明を育て、その一方で、人類は河川の有り様を度々構築し直してきた。

荒川は、過去には何度も氾濫を起こし、人々の生活に大きな影響を及ぼしてきた。また、荒川の支流には、東京の“母なる川”と言われる隅田川もあり、荒川を下っていくことで、東京という都市の、様々な側面が見えてくると考えた。
これが、荒川を被写体として選んだ理由である。
そして、荒川を下ることで見えてきたのは、都市の一つの側面だけではなかった。自然に対する人間の力も、まざまざと見せつけられた。荒川が、現在のような流域にあるのは、人間の力の介入があったからこそ、ではないだろうか。

川にはいろんな水が注いでいる。工業排水や生活排水、そして雨水などだ。人々は、川で泳いだり、川辺で釣りをしたり、あるいは、川の上を船で走る。また、水面をゴミが漂い、死んだ魚が川辺に打ち捨てられている光景も見た。
川に注いだ水の成分の違いにより、川の両岸の人類社会や自然環境は異なる。川はそれらの全てを知っている。また、川はすべてを受け入れ、流れ続けている。
これが『川はすべて知っている』というタイトルを付けた理由だ。

(宛超凡)
2022年度第24回三木淳賞受賞。2021年第44回写真新世紀優秀賞受賞。伊藤俊治による論考。
スリップケース装ハードカバー。中国語/英語訳別刷付属。スリップケースにヨレ/小さな破れ。

Stairs Press, 2022

限定500部 | 日本語 | 21x47cm | 40plates | 48pp | color

¥ 5,280 (税込)


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