アメリカの独立系出版社TBW Booksがキュレーションしたアメリカの巨匠写真家4人の写真集セット。いずれも未発表作とのこと。2017年Paris Photo / Aperture PhotoBook of the Year Award 2017ノミネート作品。
ハードカバー4冊組。シュリンク未開封(一部破れ)。但しLee Friedlander本のエッジに極々微小の擦れ。
以下キャプションは版元より
- Boardwalk Minus Forty by Mike Mandel
マイク・マンデルがサンフランシスコ芸術大学の学生時代に制作した作品「Boardwalk Minus Forty」。本作は、作家が冗談交じりに「リアルフォトグラフ」として言及することを本格的に始めた作品である。のちに作家のコンセプチュアルな作品群は世に知られるようになり、中でも1970年代後半にアーティスト仲間であるラリー・サルタンと制作した「Evidence」はとりわけ影響力のある写真集の一つとして今日認識されている。「Boardwalk Minus Forty」は、「Evidence」に至る前の土台へ立ち返ることのできる貴重な一作である。
- Prince Street Girls by Susan Meiselas
本作は1970年代後半の短期間にニューヨークのマンハッタン地区にあたるロウアー・イースト・サイドで撮影され、当時作家の近所に住んでいた11人の若い女性たちと育んだ友情関係を写し出している。絶えず変化し続ける一都市の中で「プリンスストリートガールズ(Prince Street Girls)」と呼ばれた思春期の少女たちの親密かつ無秩序な視点を描く。スーザン・マイゼラスは現在、非常に高名かつ高く評価される写真家であり、国際的写真家集団「マグナム・フォト」正会員としても活動する。1970年代初頭に発表された作品集「Carnival Strippers」や、ニカラグアなど中央アメリカの政治問題を長期に渡り取材した作品集「Nicaragua」は今日においても大きな影響力を持ち続けている。
- They Shall Take Up Serpents by Bill Burke
アメリカのニッチな文化を考察する独特の作風が当時から現在まで継続していることを垣間見せる作品集。普段は炭鉱労働者として働き週末には宗教的なヘビ使い、という二重の生活を送る人々のシュールさや奮闘、そして消費世界の時代へと見るものを引き寄せ、いとも簡単そうに叙情的な物語として両者の関係を作中で築きあげている。作者は様々なカメラやフィルムフォーマットを使用することで知られるが、既に定評があるそのストーリーテリングの手腕により単独では違和感のあるイメージ同士を巧みに結びつけている。
- Head by Lee Friedlander
リー・フリードランダーは50年に及ぶキャリアの中から自らのアーカイブを検証し、特徴的とも言える数々の撮影モチーフの中から1つを選び具体化したシリーズを集め、作品集を制作した。本書のトーンはシリアスとユーモラスの間を揺らぎ、そしてまた元の場所に戻る。一見バラバラに見えるイメージをあたかもそうでないように見せる流動性を持つ本作品集は、作者が写真家としても本という媒体の制作者としても才気溢れる巨匠であることを示している。本書は世界中の現存するアーティストの中で最も重要かつ謎めいた人物の一人であるリー・フリードランダーの、制作過程とそのアプローチを垣間見せる興味深い一冊である。
TBW Books, 2017
英語 | 28x23cm