blue affair 岡原功祐
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blue affair 岡原功祐

Blue Affair | Kosuke Okahara

岡原功祐が2017年以降足掛け3年に及び、沖縄コザでの出来事を撮影してきた写真の、2020年時点での完成形となるもの。
2017年仏ブルターニュの写真フェスFestival PhotoreporterでおこなったRHAPSODY IN THE DARK展、次いで2018年に岡原所属のPOLKA GALLERIE(Paris)で、ウィリアム・クラインやセバスチャン・サルガドらとおこなったグループ展で発表した写真群を雛形とする。
それはこれまで岡原が取り組んできた正統派とも言えるドキュメンタリーのスタイルから離脱することを試みつつも、当時まだ自身どういう形になるかわからないまま直感的に展示発表していたものだという。
今回ここに仕上がったのは、ドキュメンタリーの軛(くびき)としての予定調和的世界から離れ、岡原が沖縄の地で本能と無意識の赴くまま夢の中で撮ったような、整合性を欠きつつもだが全体として強烈なイメージの集合体。表紙にも利用された岡原が海へダイブした際の儚い泡沫の写真は、現実世界から不合理な夢の中へと誘う導入としても使用され、彼が同時に制作したショートフィルム(*1)にも度々リフレインするかのように登場する。
ハードカバー。新刊。
岡原功祐による直筆サイン入り。
2022年世界報道写真コンテストでアジア賞受賞。

(*1) スチルショット映像からなる12分46秒の短編フィルム。ラス・パルマス国際映画祭の短編コンペ部門審査員特別賞受賞。

コザで切り取られたイメージ。そこに、彼(写真家)は写っていなかった。撮影しているからというようなフィジカルの問題ではない。一方的にも、双方的にも、レンズを行き交う感情が見当たらない。まるで、そこにいなかったかのように。彼自身は浮遊していて、どこか遠くの高いところから俯瞰し、目の前で起きた出来事を見つめているかのように。ただ、そこには、温もりや悲しみのような人をまとう情緒がすべて削ぎ落とされたあとに残る、圧倒的な存在としてのイメージだけが、ストンッと写っていた。間違いなくその瞬間に、同じ場所で、同じ空気を共有しながらも、彼は一部ではなく、外側の世界から覗き込んでいた。
– 彼は確実に、夢の中にいた。
石川達也/クリエイティブ・ディレクター(本書解説より抜粋)

THE BACKYARD(岡原功祐), 2020

初版限定800部 | 英/日本語 | 23x17cm | 192pp | b&w

¥ 7,040 (税込)


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